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2014年11月

2014/11/30

11.9鬼才の画人谷中安規展1930年代の夢と現実@町田市立国際版画美術館

名称:鬼才の画人谷中安規展1930年代の夢と現実
場所:町田市立国際版画美術館
会期:10.04〜11.24
入場料:¥800
見学日:11.9
図録:有、購入。¥2500

谷中安規は1930年代から昭和前期に掛けて活躍した版画家。内田百間の作品の装丁をおこない、彼から「風船画伯」と命名されたいわれを持つ人物。
もともと木版画が好きなことと、'98に鎌倉近美で開催された「モボ・モガ展」において、藤牧義夫と共に気になった人物(他に写真の堀野正雄)。

モボ・モガ展で見知ったせいか、ずっとモダニズム系・都市系の版画家だと思っていたのだが…

まずは初期の作品。
妄想と名付けられた連作。エロティックでグロテスク。まるで地獄絵のよう。
本人は当時、「眩法派」と名乗っていたようだ。めまいなのかめくらましなのか。
日夏耿之介との関係。ゴシック・ロマンス。日夏耿之介が出した雑誌「奢灞都」の目次縁装飾。解説にはマヴォとの同時性を指摘。なるほどモボ・モガ展…。

「眩 第十一座」という連作。(たしか)ペン画。
地獄絵とサーカスと宗教画をあわせたような感じ。(住んだこともある)朝鮮の寺院建築を思わせる建物の姿。
方向性は全く違うが、ペンのタッチに建築家ブルーノ・タウトのアルプス建築を思い出す。

初期の後半の作品。前半とは線刻の表現法が違う。単純化。
「月に吠える」という作品。禍々しさと静謐さ。好みだな。

「シネマ」という作品。光と影の演出。
スクリーンの明るさ。ほのかに照らされる映画館の壁。映画を見る人々の影。
そういえば映画も光と影の演出。そしてこの時代の産物。

他に、「夢の国の駅」「月」など。
「月」この作品は御茶ノ水駅ホームから見た聖橋っぽくみえる。男たちが月を見上げている。とても静かな風景。

連作「影絵芝居」。死魔の花に翻弄される子と母と夫の物語。
とても悲しい作品。版画の美しさがそれを引き立てている。

連作「少年画集」。おそらく少年時代の追想したもの。空想に彩られながらも懐かしさを感じさせる。

関東大震災後の東京の作品群。曰く「土着と幻想のモダニズム」
連作「街の本」
「シネマ」、「ムーラン・ルージュ」(!)、「渋谷」など
一枚の版木の色つけを変えることで違った風景に魅せている。(目眩ましだ!)

モダニズムのあとには軍国主義の時代が近づいてくる。
作品の中に軍艦らしきもの、大砲のような物が登場する。
芸術家自身も軍国主義の中に囚われていく。「戦争版画集」という作品。

エログロ→光と影の時代とも違う。宗教画のような作品が増えてくる。
谷中安規のような人には生きづらい時代だったのかもしれない。(そして今、その匂いは近づいているような気がしてならない)

内田百間の書籍の口絵。あの苦虫をいつも噛みつぶしているような内田百間と谷中安規につながりがあったとは(笑)

真珠湾攻撃前の作品。もう、谷中安規は夢の中で生きるしかない。
童子図(牛と馬)(鷲)、童子騎象、虎上の吹奏。
エログロも、光と影の演出もない、ただひたすらにメルヘンティック。美しくも悲しい作品。線刻もどこか弱く見える(柔らかいわけではない)

新日本百景(大川端)。1940年の作品。遠くに国技館のドーム。
戦災で失われる戦前の東京の姿がそこにはある。

キーワードとなる(モチーフとまではいわないが)のは裸像・ダンス・蝶・朝鮮・自転車。

エピソードをひとつ。

戦災で焼け出された谷中安規。彼の行方を案じた内田百間は安否広告を新聞に出す。連絡が取れて、生活費を百間は幾度か渡す。渡したのは門下生の平山三郎(あのヒマラヤ山系)。掘っ立て小屋暮らしでカボチャの栽培を試みるが、栄養失調がひどく、1946年9月9日、亡くなっているのが発見される。
谷中安規は戦争に心と体、その二つを殺された版画家だった。

2014/11/26

11.9尾辻克彦×赤瀬川原平 ー文学と美術の多面体ー@町田市民文学館ことばらんど

名称:尾辻克彦×赤瀬川原平 ー文学と美術の多面体ー
場所:町田市民文学館ことばらんど
会期:10.18〜12.21
入場料:¥400
見学日:11.9
図録:有り・購入。¥1000

トマソン・路上観察・考現学・今和次郎・宮武外骨・中古カメラ・桜画報などなど、自分がさまざまな影響を受けた町田在住の芸術家・赤瀬川原平(作家・尾辻克彦)の展覧会。期間中の10.26に亡くなり、そのまま追悼展になるという…。なんという偶然というかタイミングというか…(赤瀬川さんは偶然好きでもあった)

まずは林丈二さんにあてた病院からの葉書が特別に展示。いろいろな意味で感慨深い。

本編最初は、町田在住が故の自宅・ニラハウスの紹介から。
路上観察仲間の藤森照信さんが設計。
屋根のニラはともかく、内部空間は居心地が良さそうな雰囲気が漂う。(昔の太陽(平凡社)の赤瀬川原平特集号で詳しく知っていたとはいえ、いいなぁ)

次は千円札裁判の記録。
芸術作品として千円札を模写したものが、紙幣の偽造に当たるとして逮捕されたときの裁判記録。
裁判の結果がどうなるかよりも、裁判そのものを祝祭に見立てたかのような大騒ぎの姿が面白い。最高裁が現代芸術の展示場になるとは。見てみたかった。
加えて梱包作品と宇宙の缶詰(カニ缶のラベルを内側に貼り付け、蓋を閉じたもの。宇宙そのものが小さな缶詰の中身となる)が見られたのは嬉しかった。

桜画報と美学校の活動。
桜画報はパロディ・ジャーナリズムだったのか。山藤章二やマッド・アマノのそれと比べたことはなかったな。原画を見て、細かい描き込みぶりに驚く。文庫版ではわからない描き込みぶり。
マッチラベルコレクションや古書値札のコレクション。古書値札のそれは、宮武外骨の滑稽新聞、スコブル、面白半分があって興味を引く。

作家・尾辻克彦としての活動。
芥川賞受賞作の原稿。賞状と記念品の時計。原稿執筆記録ノートやスケジュール帳など。
映画・利休の台本。これ、未見の作品。DVDとかになっているのかな。要確認。

カメラのコレクションとトマソンの写真群。
カメラのコレクションはマニアなら垂涎のものなのだろうが、自分には今ひとつピンと来なかった。自分のカメラ感覚が、ローライ35やコンタックスT2あたりで止まっているためかな。一時のカメラ熱が継続していれば違ったのかもしれない。
トマソンの写真群。赤瀬川原平さんのキャプションが素晴らしく良い。これがあってこその、トマソンの写真なのだなとあらためて実感する。
スライド上映を見るだけでも価値がある展示した。

直接行動主義の現代芸術家が徹底した観察者となり、さらに概念を抽出して弄ぶ…それが赤瀬川さんだったのだなとあらためて感じた。
赤瀬川さん亡き今、徹底した観察と概念の抽出ができる方はいるのだろうか。'70年代よりも混沌とした世の中を見極める人は必要なのだが。
あと、小説家・尾辻克彦の再評価は、これからの課題かなと思う。まずは小説の復刊を希望する。

千葉市美術館の赤瀬川原平の芸術原論-1960年代から現在まで-も必ず行く予定。12.23まで。チケット半券の割引が相互である模様。

2014/11/25

9.23ディスカバー・ディスカバー・ジャパン展@東京ステーションギャラリー

名称:ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい
場所:東京ステーションギャラリー
会期:9.13〜11.9
入場料:¥900
見学日:9.23
図録:あり。購入。¥2000

70年代、国鉄のキャンペーンを振り返った回顧展。
さすがにディスカバー・ジャパンの記憶はなく。「一枚の切符から」、「いい日旅立ち」、「チャレンジ2万キロ」あたりからなので、懐かしさよりも目新しく感じさせられた。

同じCMプランナーの手による富士ゼロックスのCM群。興味はあるが本筋ではないので、ここでは記さない。

ディスカバー・ジャパンのポスター群。最初の頃のものは若い女性たちが、日本の風景の中にいるもの。まるでアンノン族のよう。

後期は女性は登場しなくなり、風景や情景が中心になる。
それよって、ディスカバー・ジャパン(以下DJ)のDJたるものの概念が抽出されているように感じた。

国鉄によるポスター群だけではなく、協賛した会社、地方の観光協会などによるポスターが続く。国鉄によるものに比べれば、凡百のポスターに見える。
それでも、国鉄が民間企業などを巻き込んでキャンペーンを張った意味は大きいように見えた。(過去にそういう事例はあったのかな。調べてみたい。)

協賛社である日立のカラーテレビ(キドカラー)の宣伝でもあったポンパ号に関する資料。こんな物を走らせていたのか…と思いつつも、筑波科学万博の際にみた特別列車を思い出す。その源流はポンパ号なのか…

記念切符・記念スタンプの登場。これもこの時代から始まったものなのか不明。ただ、DJとの親和性は高いと感じさせられる。

絵葉書型の旅行からの脱却がDJにはあったようだが、大量消費型の観光に反旗を翻す方向が、実際には新たな大量消費型の観光を招いただけ、と見ることもできるような気がしてならない。
これは、近ツーの支援の元に宮本常一の観文研がやろうとしていて失敗したことにもつながるような気がしてならない。(観文研と近ツー側では温度差があったように見えるので)
(ついでにいえば、DJが始まったのが万博後の1971年。観文研が始まったのが1966年。相互作用ってなかったのかな。このあたり深く掘り下げたら面白いと思うよ)

日本テレビの番組「遠くへ行きたい」。この番組もDJが発端だったのか!
上映されていた作品(伊丹十三のもの)は時間の関係で見られなかったのが残念。

国鉄自体の観光施策って、戦前からある(鳥瞰図絵師・吉田初三郎もその流れの中にいる)けれど、DJは広告や社会的影響は与えたとしても、観光文化そのものは変化させられなかったように見えた。結局。大量消費型の観光にしかならなかったように。

交通史、観光史、広告・デザイン史、文化史などの学際的興味がある自分には、なかなかの展示でした。

最後に。DJのフレーズの中に登場する「美しい日本と私」。川端康成のノーベル賞「美しい日本の私」は’68。角栄の日本列島改造論は’72。ここに観文研の'66と万博の'70を並べると、いろいろ見えてくるものはありそうです。

2014/11/24

鎌倉検定試験終了

昨日は鎌倉検定一級を受験(結果は…失笑クラス。トホホ)。
記述問題が中心で、うろ覚えの知識では太刀打ちできませんでした。

細かいディテイルと関連知識のリンクと拡充が大切と感じました。
…が、どうやって勉強すればいいのかな。一年掛けてゆっくりじっくり地力をつけていかないと…

直会は、ラ・パットーラで一服したあと鎌倉へ移動。舵屋→ランデブー・デザミ→パンダバルとハシゴ。
烏賊の活き作りの旨さを堪能し、おいしい日本酒とワインにほどよく酔っ払いました。

建築・文化財の残し方、里山の廃道の再整備、本と図書館にまつわる話など、まじめ(当社比)な話をした記憶。
おいしい酒食と楽しい話で、試験結果のへこたれ具合も解消するほどのいい一日でした。感謝。

笑っちゃうほどの生きの良さ!

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2014/11/10

黄色い本

>読書会方面各位 買いました。用意(だけ)は万端です。

>読書会方面各位 買いました。用意(だけ)は万端です。

新刊のアレも気になるところ…試験終了までは我慢、ガマン。

2014/11/06

exhibition覚書'14/11

11月以降のものを備忘録的に。(最終更新11.26)

(更新記録11.6、26)

(開催中止・変更となっている可能性が考えられます。各イベントの開催状況についてはスペースへ直接ご確認下さい)
(リンク切れになっている可能性があります)

○見学必須
◎見学済
開催中、終了済は終了日順。開催前は開催日順。
'12/12よりジャンル
分類を廃止。タグでカテゴリ分類を実施

--会期終了--

●08.01〜11.03[アート]ヨコハマトリエンナーレ2014(横浜美術館他[横浜])
○10.25〜11.05[図書館]ファンタスティックライブラリー(鎌倉市図書館各所)
◎09.03〜11.09[観光]ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい(東京ステーションギャラリー[東京・東京駅])
○11.15[地理]地図倶楽部ナイト東京カルチャーカルチャー[東京・青海])
●10.11〜11.16[信仰・歴史]白絵 -祈りと寿ぎのかたち-神奈川県立歴史博物館[横浜市・馬車道])
●11.21〜11.22[イベント・CM]世界のCMフェスティバル2014 in TOKYO 〜さよなら新宿ミラノ1〜(新宿ミラノ座[東京・新宿])cf.* →翌日鎌倉検定のため断念
◎11.23[地域検定]鎌倉検定一級
●09.04〜11.24[建築]建築の皮膚と体温-イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界-(LIXILギャラリー[東京・京橋])
●10.04〜11.24[港湾史・横浜市]日本の海の玄関 大さん橋物語(横浜みなと博物館[横浜市・桜木町])
◎10.11〜11.24[企画展・民俗]大おにぎり展ー出土資料からみた穀物の歴史(横浜市歴史博物館[横浜市・センター北])
◎10.04〜11.25[アート]鬼才の画人 谷中安規町田市立国際版画美術館[東京・町田])

--会期中--

○10.01〜11.30[建築]加地邸をひらく-継承をめざして(加地邸[葉山町])*土日祝日のみ
●10.07〜11.30[都市]モダン都市銀座の記憶江戸東京博物館[東京・両国])
○10.31〜12.04[芸術]清方描く 季節の情趣ー大佛次郎とのかかわりー(鏑木清方記念美術館[鎌倉市・鎌倉])
◎10.04〜12.07[短歌]生誕100年 生き放題、死に放題 山崎方代の歌(鎌倉文学館[鎌倉市・由比ヶ浜])
○10.15〜12.14[地域]絵図から地図へ~字限図で見る明治の日野(日野市立新選組のふるさと歴史館[日野市・日野])
◎10.18〜12.21[文学・芸術]尾辻克彦×赤瀬川原平-文学と美術の多面体-町田市民文学館[町田市・町田])
●09.20〜12.23[写真] 「昭和」  写真家が捉えた時代の一瞬あーすぷらざ[横浜市・本郷台])
○10.28〜12.23[芸術]赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで(千葉市美術館[千葉市・千葉])
●09.27〜01.12[アニメ・東欧]東欧アニメをめぐる旅 ポーランド・チェコ・クロアチア神奈川県立近代美術館葉山[葉山町])
○10.11〜01.12[都市・団地]あこがれの「団地」横浜都市発展記念館[横浜・日本大通])

--会期前--

近日来訪必須

渋沢資料館
七曲井(狭山市)
小野路

映画

詳細不明

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